TACNEWS 2003 November
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熊野 雄平氏
近田会計事務所 副所長・税理士
●1958年3月16日生まれ、青森県八戸市出身
●1980年3月:中央大学商学部卒業、1981年12月:税理士資格取得、1982年1月:近田会計事務所入所、1991年:税理士登録、副所長となる。1987年12月:宅地建物取引主任者資格取得、2002年2月:ITコーディネータ資格取得。現在、近田会計事務所副所長、(株)ヒューマンリサーチ代表取締役、青森県倫理法人会事務長
●座右の銘 苦難は幸福の門
●年商 3億6000万円
●事務所 青森県八戸市根城7-4-33
TEL 0178-43-7051 FAX 0178-44-8149
URL http://www.kondakaikei.co.jp/ |
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創造性と礼節に満ちた日本一の事務所をめざし、 八戸市で約500社を監査する会計事務所です |
地方都市での会計事務所の展開をみていくと、専門分野を追求していく場合もあるが、町医者的によろず税務相談に応じる事務所というのが、地元に根を張り着実に成長している姿を目にする。八戸市の近田会計事務所も、その好例と言えるだろう。今回は、近田会計事務所の副所長である税理士・熊野雄平氏にスポットを当てることで、地方都市での事務所展開だけでなく、地方都市で活躍する若手税理士像を追ってみることにした。
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| 目 次 |
1.八戸で活躍する若手税理士、誕生
2.時代に先駆けてコンピュータ化を推進
3.自利利他の精神
4.日本一になる百箇条
5.ITコーディネータ分野とISO9001認証取得
6.先行投資で人材採用
7.ホームページ上で税務・経営相談
8.熊野流「私の主義主張」
青森県八戸市は、人口24万5000人の地方都市である。そこで関与先数500件を数え、スタッフ数60名の事務所と言えば、恐らくこの都市で最大規模の会計事務所であると想像がつくだろう。それが今回ご登場いただく税理士の熊野雄平氏が副所長を務める近田会計事務所である。
今回は視点を変えて、23歳の若さで税理士資格を取得し、45歳となる現在まで近田会計事務所の副所長として事務所を支えてきた熊野氏の目を通して、会計事務所を考察してみることにした。熊野氏の生き方から、地方で活躍する若い勤務税理士像をとらえてみたい。
熊野氏は、1958年(昭和33年)に八戸市の漁業経営者の次男坊として生まれた(その後、旅館業に転業)。若いころから貿易で海外へ行くことを夢見て、八戸高校を卒業後、中央大学商学部に学び、商業貿易を専攻する。その熊野氏が税理士をめざそうと考えたのは、父親が体調を崩し、実家に帰ろうと決意したことからだった。
「その時、兄も東京にいたものですから、誰かが実家に帰らなければならず、大学2年だった私が帰省しました。最終的には、兄が旅館業を継ぐことになったのですが、当初海外貿易をめざしていた私も、この一件から何とか実家に戻って出来る仕事はないかと考えるようになったのです。そう考えていたある日、実家が商売していた関係で出入りしていた税理士さんのことを思いだしました。今の自分にできて、かなり儲かりそうな職業は税理士ではないか。そう思ったのがきっかけでした」
このようにして熊野氏は、大学2年在学中から簿記論や財務諸表論を独学で勉強し始め、大学3年から本試験受験を開始。初年度は、財務諸表論は合格したが、簿記論は不合格だった。大学4年時は簿記論にリベンジ合格したものの、翌年税法にチャレンジして不合格。「これは独学で税理士に挑戦する限界だろう」と考えた熊野氏は、専門学校に1年間学び、大学卒業2年目、23歳で残り3科目の合格を手にしたのである。
八戸に帰省したのは本試験が終わった8月。仮に落ちても残りは1〜2科目だろうから、八戸でも勉強できるという目算だった。「八戸に戻ってきてから、どこか勤務できる会計事務所はないかと新聞を見ていたら、たまたま近田会計事務所の募集広告が目に留まったのです。それ以来今日まで勤めていますが、入所したのはそんな偶然の産物なんです」
こうして1981年12月に税理士資格取得を果たした熊野氏は、翌年1月、近田会計事務所に入所することになった。近田会計事務所との現在までに至る長い付き合いの始まりである。
現在の近田会計事務所の元となった近田哲雄税理士事務所は、1970年9月に開業した。開業3年後の1973年に、息子であり現所長である近田雄一氏が入所し、税理士2名体制の事務所となった。両人とも国税庁出身であるが、父の哲雄氏は酒税課、息子の雄一氏は法人税課出身。そのため会計事務所における実務面では当初から息子の雄一氏がリーダーシップを取っていたという。父である近田哲雄氏が全体を見る所長を勤め、実務面では副所長として雄一氏が力を振るう。熊野氏が採用された頃、近田会計事務所は所長と奥様を含めて、職員数10名ほどの規模だったという。
近田会計事務所は、1977年8月にTKC全国会に入会し、時代に先駆けるようにコンピュータ化を推進してきた。その意味では八戸で最先端の事務所であり、現在でも経理ソフト導入は300件を数え、TKCグループ内でも全国4位の実績を誇っている。
業務内容を紹介すると、基本的な柱としてまず毎月の巡回監査があり、通常の会計・税務業務・利益計画策定・各種助成金活用指導を行うほか、自計化システムの導入指導を含めて経理システムの導入指導に力を入れているのが特徴である。ホームページの業務紹介にも「あなたの会社のコンピュータによる経理を原則としています」と明記するほど、自計化への啓蒙は徹底している。その他、ホームページの作成やワードやエクセル等のパソコンセミナーから幹部強化セミナーの開催まで、企業活動を支援するサービスの提供が幅広く用意されている。
更に、関連会社として金融コンサルティングを担う(有)ヒューマンリサーチ、(有)ビジネスマインド(パソコン教室)、「青森県中小企業経友会事業協同組合」がある。パソコン教室の方は、「わかるとできるパソコン教室」のフランチャイズ傘下に入り、こちらのシステムを導入している。「青森中小企業経友会」は、関与先の経費削減のお手伝いを目的とした組織で、協同購入・共同仕入により、火災保険が5%引きになったり、高速道路使用料が17%以上の割引になるなどの割引制度が利用できる。また、経費削減とは関係はないが、中国人研修生の受け入れ制度も行っている。経友会で働く中国人3名が研修を行いながら、中国人に日本で働く機会を与えていくシステムであり、これも近ごろ労働者の採用がうまくいかないという関与先の悩みに対応したものである。経友会は、いわば経費削減のよろず相談所と言えるだろう。
このような関連企業を含め、グループ全体に通底しているのは、「お客様の役に立つことは何でも提供していこう」という事務所の普遍的な理念である。
結果として現在、グループ全体の関与先数は500件、総職員数は80名となり、近田会計グループは大きく成長したのである。
さて、熊野氏に話を戻すと、熊野氏は近田事務所に入所する前に本試験に合格し、税理士資格を手に入れている。ただし、実際の税理士登録は10年後の1991年であった。
「事務所では、既に先代の所長と当時副所長だった現所長の2名が税理士登録していましたので、敢えて私が登録する必要性がなかったためです。1991年12月に先代の所長が逝去され、現所長になった時に私が副所長に就任しました。ですから、登録したのは、その時なのです」
熊野氏本人に独立志向があったか否かについて水を向けると「今の所はないですね。やはり税理士が2名から3〜4名在籍する事務所でやったほうが、1人に何か起こっても対応できます。それは働く職員の不安をなくしますし、お客さまの信頼にもキズがつきません。また、大きくなっている事務所というのは1人で運営しているわけではありません。やはりある程度規模があった方が効率がいいと思います」という答えが返ってきた。熊野氏はあくまでチームプレイを基本に考える税理士なのである。
グループ全体でかなりの大所帯となり、職員数は事務所だけでも入所当時の6倍になった。副所長として成長の秘訣を分析すると、「TKC入会以来培われている『自利利他』の精神である」という答えが返ってきた。
「正しい申告をやっていくことは、人としてやるべきこと。『自利利他』の精神で、関与先のために一生懸命尽くすのです。このTKCの方針通りにやっていたのが、成功の秘訣だと思います。また、うちの事務所は最初から記帳代行は一切行っていません。というより、記帳代行を受けない体制作りを最初から敷いてきました。
私たちの活動は、あくまでも最低でも月一回お客さまにお伺いして、経理の状況を確認し、粗利益までその場で出して社長様とお話すること。決算の予測、予算の策定を社長様と実施することです」
近田会計事務所の業務の基本は、申告に関しても、30日体制をとっている点にある。つまり、翌月には前月の決算が出せるように準備しているので、税金も早めに分かる。こうしたきちんとした体制で本筋を追求していることが、関与先に受け入れられるゆえんだろう。熊野氏が入所した当時100社ほどだった顧問先が500社を越えたのも、こうした誠意のある対応の結果と言えるだろう。これこそ、当たり前のことを当たり前にやることの神髄である。
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若手スタッフとは年齢が近いだけに 気軽に相談に乗る | 所長である近田雄一氏と。 年齢は離れているがとても気が合うという |
コンピュータによる経理を原則とするだけあって、関与先のコンピュータ化も進められている。現在500社ある関与先のうち300社は既に導入済みで、法人はほとんどコンピュータ化されている。
「自分の会社で経理処理をやっていただいています。こうした体制作りをお手伝いしているので、うちの事務所では記帳代行を行う必要がないということもあります」
業務として特に業種特化をしている分野はないが、事務所内は7つのグループに分かれている。特別に設けている部門は「資産税部門」で、ここは専門的な業務を行うために2名が配置されている。それ以外の部門は、それぞれの課長の得意分野で分けられているのがおもしろい。例えば、営業関係に強い、技術関係に強いといった区分けなのである。
「あらゆる業種に対応するのは、ひとつに偏ると職員のバランスが崩れるという現所長の考えです」と熊野氏が語るように、第一次産業から第三次産業まで、幅広く扱っているのである。
さて、熊野氏が副所長になった経緯は、税理士の資格を持っていたのが熊野氏だったためだけではない。熊野氏と所長の近田雄一氏はたいへん気が合うそうだ。副所長になる前から、二人で夜遅くなるまで事務所の将来について、ああしたいこうしたいと語り合っていたという。特に所長の考えに熊野氏が共感する部分は、社訓となっている「関与先の発展が、事務所の願いであり、職員の向上が、事務所の発展である」という基本的な考え方である。更に続く経営理念では「われわれは、関与先の発展を心から願い、自己研鑽に励む。われわれは、業務を通じて、人類の幸福と発展に貢献する。われわれは、創造性と礼節に満ちた日本一の職場を創る」と明言されている。社訓は、毎朝の朝礼で全員唱和することになっているという。
また、経営理念に「日本一の職場」とあるが、この目標を達成するために、4〜5年前わざわざ企画部門を設置し、所長を始め職員全員で「事務所が日本一になる百箇条」というのを作ったそうだ。ある研修(SMI)を事務所全員で受けたことをきっかけに、それをもとに作られたのである。それも、毎朝10箇条ずつ唱和している。
経営理念を、社員の手作りで行い、唱和する事務所は、たいへん珍しい。
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◇ITコーディネータ分野とISO9001認証取得 |
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近田会計事務所では、新たな試みにも挑戦している。特にITコーディネータ分野には力を入れており、IT化を企業に推進し、導入の手伝いをしている。
更に、経営革新の手伝いも最近特に力を入れている分野である。経営革新申請法が成立したのを機会に、そうした申請ができるようにセミナーを開いたり、各チームは毎月一社はこの申請をするようにと事務所で推進している。7月には青森県の審査会に4〜5件の関与先の社長に同行して申請を行った。
「今のままだと企業がどんどん淘汰されていってしまいます。何か新しい試みをしなくては生き残っていけないだろうということで、いろいろ考えているのです」と、熊野氏は語る。新たな試みは、現在の厳しい経済環境・経営環境を乗り切るために、会計事務所が何ができるかを考え抜いた結果なのである。
特に最近の特徴として、近田会計事務所では毎月の巡回監査を徹底している点が挙げられる。TKCの全国平均でも翌月中に監査を行っている事務所は50%に過ぎない。つまり、TKCに加入していない事務所も含めれば、翌月に監査を行っている事務所はもっと低いパーセンテージになる。それを近田会計事務所では、関与先の95%以上の達成率で翌月監査を実施しているのである。
これこそ「あたりまえのことをあたりまえにやる」ことが、いかに難しいかを証明する結果と言えるだろう。ひいては、近田会計事務所の成功の秘訣もここにすべてあるとも言える。熊野氏は、事務所がこうしたことを日々実行できる要因を次のように分析している。
「なぜあたりまえのことをあたりまえにできるのか。それは、所長がとても素直だからなのだと思います。所長は『それよりこちらの方がいいですよ』と納得できる提案がなされれば、それを素直に受け止め、しかも諦めずに取り組んでいきます。それを私の方で受けて、効果が上がるようなかたちで全スタッフで実行していくのです」
「効果が上がるかたち」にも、事務所独特の方法が取られている。それはあらゆる効果に対し「報償金」を設定する非常にユニークなものである。例えば、月末近くになると未完了の仕事がどれだけあるかを毎日告知し、月内に決算を修了すれば報償金を出す。あるいは、翌月に入り、ある一定に期日を過ぎた場合には、逆に罰金を徴収する仕組みだ。
「『飴とムチ』ではないですが、うちの事務所はたいへんな金額の報償金があります。例えば、決算の報償金から始まり、決算の予測を立てる継続MASでの報償金、関与先の社長様と年次計画を立てても報償金が出ます。また、決算30日体制でやってますので、30日を過ぎて翌月に完了した場合にも一日ごとに報償金が減り、10日頃になると逆に罰金がつくようになります。あるいは、銀行に社長様と同行して決算説明をするのも報償金を支払います」
業務内容だけではない。近田事務所の報償金は、ウォークラリー等にも適用される。例えば、一日一万歩歩けば手当てが300円つく。その他、禁煙手当て、環境を守る手当てとして自転車通勤でも報償金がつく。もちろん資格手当も当然つくし、早朝6時半に出勤してもつくのである。
「全部で20項目位の手当てがあります。簡単に言えば、朝6時半に自転車で出社して、一万歩歩けば、それだけで一日1000円以上の報償金がつくわけですね。また、1週間連続で一万歩歩けば1カ月で20,000円になりますから、仕事しなくてもそれだけで稼げます(笑)」
要は、これを実行してもらうことで職員の身体が健康になれば、事務所にもプラスになるという発想である。これほどユニークな試みを実践している事務所は、日本全国探しても他にないだろう。
こうした報奨金制度は、事務所に余裕があるからできるのだと熊野氏は説明する。実際は、予算編成をするときに賞与の枠に個人個人の報償金分を予算化しているというから、これも実によくできた合理的な方法で、脱帽ものである。
「お客さまを指導しますから、まず会社で全部実践してみます。そこで効果があるものをお客さまにも導入していくのです」
と、熊野氏が語るように、最終的には関与先の発展のための方策が、様々なかたちで事務所の中で試されているということのようだ。
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| 所内を歩きつつスタッフに声をかける熊野氏 | 事務所のIT化、業務のIT化は熊野氏が 先頭に立って推進している |
人材の採用に関して、近田会計事務所では毎年、3名ずつ採用を続けてきた。10名から始まり、毎年3名ずつ増えて10年で30名、20年たてば60名に増えるという計算通りの増加で事務所の規模も拡大していった。
「普通、人員が減ると補充する採用方式が取られますよね。私たちは定期採用します。結局、職員を教育指導する余裕が事務所にあるからです。余裕があり、教育指導されれば、職員も即戦力としてお客さまのところに出向けますし、本人の負担も少なくなります。これが、忙しいという理由で、採用してすぐ外に出してしまうと、本人も大変ですし、お客さまにも不満が出たりすることになります。そこで私たちは、常に先行投資で採用してきました。つまり、事務所には常にいわば無駄な人員がいるわけです。ですから、課長も私たちも担当は持っていません。その他の仕事の管理や一般職員では対応できない相談、あるいは私の場合は得意先の中でも大型のお客さまを担当者とともに回ったりしてます。全員担当を持たせていないということは、まだまだ余力があるということでもあるのです。
また、私たちの仕事は、どちらかというと営業的業務ですから、採用の基準はきちんとコミュニケーションがとれる方ですね。なぜなら、関与先の社長ときちんと話ができなければ仕事にならないからです。
その他の採用の条件は、今勉強していなくても、これから勉強したいと考えている人。そして健康が大事ですから、体力のある人ですね。
中途採用の方も新卒採用と同時に行いますが、中途の方は事務所で早朝に勉強してもらい、最低でも簿記2級を取ってもらっています。早い人なら、わずか2カ月で取得しますね」
地域全体の経済状況も悪化したので、今年は民事再生法申請会社や契約をやめる関与先も多く、そのバランスが同等数になるため、今年は採用を見送ることにした。それほど地域経済の状況も深刻である。
「予算を作るのもお手伝いしますが、これ以上事業を続けていても限界があると判断したお客さまには、早めに対応策を打ち出して、取り返しのつかない状況に追い込まれる前に商売を打ち切らせるのもお手伝いの一環です。
苦しくなると高利貸しや親戚関係から借り入れてしまうケースもあります。そうなると引くに引けなくなり、大変ですから、やはり引き際もきちんと見極めてもらうことも大事な仕事ですね」
いかなる状況でも企業を続けてもらうことは会計事務所の利益にはなる。しかし、「幸福の実現のための手伝いをしよう」という判断で企業を潰すことも、会計事務所の良心なのである。
熊野氏のルーティーンワークは、職員の作成した書類のチ ェック、出来上がった決算のチ ェック、また大型の得意先を担当と一緒に回ることが主だった業務だ。後は、熊野氏しかできない新分野の研究をするために費やす。
「コンピュータ関連もそうですが、税務以外のものに興味を持っています。今、グループウ ェアを組んでみたいと思いまして、サーバーを立ち上げるところまで進めました。
こうしたIT業務もこれからの事務所運営に重要だと考えています。実は、私個人のはもちろん、事務所のホームページも、私が作りました」
そう、目を輝かせる熊野氏は、相当のシステム通らしく、楽しそうに話す。
熊野氏がITに強いところから事務所の発展性も高まってくるとも言えるだろう。例えば、最近事務所で始めた「インターネット顧問」というサービスもその一環である。これは「e-コール」というサービスを適用したもので、様々な税務情報・経営情報をホームページを介して提供していくものである。サービスを受ける関与先がアクセスすると専用のホームページが表れ、そこで質疑応答できるサービスだ。
「まだ、始めたばかりで実績は上がっていませんが、将来効果が表れると思います。
既存のお客さまは月一回訪問するので、こうした質疑応答のニーズはないのですが、新規のお客さまには効果的ではないでしょうか。
ホームページを通じて連絡のあったお客さまはすでに3件ほどあり、そのうち一件は受注しました。ですから、これからは見る見ないに関わらず、そうした情報をネット上で提供していくのは大事だと思っています」
個人的にもITに関心が高い熊野氏は、こうした新たな展開に対して胸を膨らませている。
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あたりまえのことをあたりまえにやることが 事務所成長の秘訣、と語る | スタッフとの打合わせ |
熊野氏個人のホームページでは、自分の理念を語っている「私の主義主張」というコーナーがある。人生についてある種の悟りをわかりやすい言葉で綴っていて、たいへん興味深い内容だ。
「毎日真向法(柔軟体操)を行う」の健康の項目から始まり、社会生活・教養・精神・経済・家庭まで6項目からなるが、特に目を引くのは、「家庭生活では借金をしてはいけない。貯めてから買う」を謳っているおもしろい経済の項目。そして「世の中の奉仕できる活動に参加し、良い人の輪を広げる」の社会生活である。特に社会生活の項目は、まさに近田会計事務所の経営理念とぴったり一致している。
つまり、事務所経営も、人生も、奉仕の精神で成り立っているという、この一点において共通しているのである。興味がある方は、「熊野雄平ホームページ http://www8.plala.or.jp/KUMANO/にアクセスしてみるといい。
熊野氏の個人的目標は、とりあえず独立はせずに今の土台に立ち、近田会計事務所を伸ばしていくことにある。
「私たちの仕事は、税理士業務だけではありません。税理士業務だけでやっていこうとすると、そのうち仕事はなくなるでしょう。きちんとした経理ができていないお客さまがまだまだいますので、そうした困っている人に正しい経理の体制の作り方を教えていくのが、私たちの仕事であると思います。ですから、税理士業界は先行き暗いという話をよく耳にしますが、私はまだまだ未来は明るいと思っています。様々なお客さまが増えていく余地も、困っているお客さまのニーズもまだまだあるからです。
本来、企業は自分の経理をきちんとやってまず自分が数字を把握し、それから次の手を打つということをやらなければならないのです。それをごまかしてやっている人は、自分の実態もわからなくなってくるのですね。企業が税金をごまかすと、下はトップを見ていますから、社風がごまかすような体質になってしまうのです。それで後で苦しんでいる企業はたくさんあります。そしてそういった企業は、伸びないですね。こうした方々を救うのが、私たちの使命ではないでし ょうか」
2001年12月20日、近田会計事務所は北東北の会計事務所としては初めてのISO9001:2000の認証取得を果たした。業務の品質水準を継続的に保てることの証しとなるISOの取得は、更なる事務所の拡大も可能にする。
「長いスパンで考えて、更に大きくしていく方向です。全国規模で見ると、いくつか200名〜300名規模の事務所がありますが、私たちもそれぐらいにはなれるだろうと考えています。八戸市の人口24万5000人という地域性もあるので、相対的に考えて到底東京や大阪のような規模には至りませんが、将来的には青森県全域の企業対象に業務を広げていきたいと考えています」
八戸市の若手税理士の目線は、一歩も二歩も先を見ているようだ。
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実家に戻っても出来る仕事を探したことから 税理士の道へ | 近田所長とパソコンを使っての打合わせ |
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