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医療法人制度の概要

医療法人制度の概要

平成19年4月1日以後の新しい医療法人制度

1.第五次医療法改正の背景(医療法人関連)

  • 政府は、規制緩和の観点と医業経営の効率性を追求する立場から株式会社による医業経営参入を目指しました。
    これに対し、厚生労働省は、医療は「非営利」が原則であり、営利目的の株式会社の医業経営参入は認められないとする立場をとりました。
    医療法では、医療法人について余剰金の配当禁止が明確に規定(医療法第54条)されており、配当をすることができません。この配当できないことが医療法人の「非営利性」につながるというのが厚生労働省の見解です。
    ところで、全医療法人の98%を占める「持分の定めのある社団医療法人」は、その出資者である社員が「持分」を融資、退社した際や、医療法人が解散した際に総資産をベースに財産の払戻しを受けることができます。株式会社の医業経営参入論者は、これが実質的な余剰金の配当に当たり、医療法人の非営利性は形骸化しているとして、株式会社の参入を強く主張しました。
    これに対し、厚生労働省は、「医療経営の非営利性等に関する検討会」報告などをもとに「持分」概念をなくすことにより、医療法人制度そのものが有する矛盾を解消し、断固株式会社の医業経営参入を阻止する改正を第五次医療法改正で行うこととしました。

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2.医療法人に関する医療法改正のキーワード

第五次医療法改正による医療法人制度改革は次の5項目がキーワードとなっています。

(1)非営利性の徹底
   →[解散時の残余財産の帰属先の制限]
(2)公益性の確立
   →[附帯業務の拡大(第一種社会福祉事業等の一部追加)]
   →[社会医療法人の創設]
(3)効率性の向上
   →[役員・社員総会等の医療法人の内部管理体制の明確化]
(4)透明性の確保
   →[事業報告書等の作成・閲覧に関する規定の整備]
(5)安定した医業経営の実現
   →[社会医療法人債(公募債)発行に必要な規定の整備]

3.平成19年4月1日以後の新しい医療法人制度

  • 医療法人制度は、-平成19年4月1日以後、いわゆる「地上2階・地下1階」の制度になりました。非営利性に公益性を加えた社会医療法人が2階部分に位置し、基金拠出法人を含む持分の定めのない社団医療法人と財団医療法人が1階部分となります。これらの医療法人は改正医療法に則った医療法人といえます。
    地下1階部分には、「持分」概念のある、持分の定めのある社団医療法人と出資額限度法人が位置します。これらの法人は経過措置型医療法人とされ、当分の間、解散時などの財産権を有したまま存続することになります。平成19年4月1日以後の新規設立はできません。

いわゆる「地上2階・地下1階」の医療法人制度のイメージ図

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≪チェックポイント その1≫地下1階から1階への移行は法人の任意

いわゆる地下1階の経過措置型医療法人(持分の定めのある社団医療法人と出資額限度法人)が1階に強制移行されることはありません。出資者が財産権である「持分」を放棄して1階に上がることは、あくまで医療法人の任意とされています。

≪チェックポイント その2≫地下1階から1階に移行した場合の課税

  • 医療法人の98%を占める「持分の定めのある社団医療法人(地下1階)」において、その出資者が「持分」を放棄して1階に上がった場合には、現状、課税がされることになります。したがって、いわゆる地下1階から1階への移行は顧問の会計事務所などとも協議し慎重に検討すべき事項となります。

≪チェックポイント その3≫合弁後の存続法人

  • 持分の定めのある社団医療法人(地下1階)同士が合併した場合には、合併後の存続法人は持分の定めのある社団医療法人(地下1階)とすることができます。なお、持分の定めのある社団医療法人(地下1階)と持分の定めのない社団医療法人(1階)が合併した場合には、合併後の存続法人は持分の定めのない社団医療法人(1階)となりますので、注意が必要です。

改正医療法施行に伴う医療法人の類型 新旧対照

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4.経過措置型医療法人と「当分の間」

  • 平成19年3月31日以前は、全医療法人の98%が持分の定めのある社団医療法人でした。この法人の特徴は、旧モデル定款に基づき医療法人の出資者に財産権(退社時の持分払戻請求権と解散時の残余財産分配請求権の2つの権利)が保障されていた点です。
    具体的には、旧モデル定款の第9条で退社時の持分払戻請求権が、第34条で解散時の残余財産分配請求権が保障されていました。

 参 考  持分の定めのある社団医療法人の旧モデル定款(財産権部分抜粋)
第 9条  社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。
第34条  本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする。

このような財産権の保証が、医療法人の非営利性を形骸化させているという批判のもと、平成19年4月1日以後、持分の定めのある社団医療法人の新設は認められなくなりました。この持分の定めのある社団医療法人といわゆる出資額限度法人を合わせて「経過措置型医療法人」といいます。これらは、「当分の間」存続が認められるようになりました。
ところで、厚生労働省では、「当分の間」がいつまでを指すのか具体的に明言していません。当分の間という言葉の解釈は、一般的には「大きな社会情勢の変更があって、法律改正が必要となるまでの期間」などとされていますが、この経過措置型医療法人が存続できる「当分の間」の解釈については、財産権にかかわる重大な問題であるため、実際上は相当な長期間になるか、期限が区切れないのではないかとする向きもあります。

5.基金拠出型法人

  • 平成19年4月1日以後、持分の定めのない社団医療法人は、「基金を引き受ける者の募集をすることができる旨定款に定めることができる。」とされ、選択により「基金」制度を採ることができるようになりました。基金制度を採用する場合には、基金の拠出者の権利に関する規定や基金の返還の手続きを定款に定めなければならないとされています。
    基金とは、社団医療法人で持分の定めのないものに拠出された金銭その他の財産であって、医療法人が拠出者に対して、定款で定めるところに従い返還義務を負うものをいいます。金銭以外の財産を基金として拠出した場合の返還義務は、金銭以外の財産を拠出した時の価格に相当する金銭での返還義務が生じることになります。
    また、基金の返還に係る債権には、利益を付すことができません。
    このような基金制度は、剰余金の分配を目的としないという医療法人の基本的性格を維持しつつ、その活動の原資となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図るという趣旨で設けられました。
    基金制度を採用するか、しないかは法人の選択ですので、平成19年4月1日以降は、持分の定めのない社団医療法人は「基金拠出型法人」と「一般の持分の定めのない社団法人(基金なし)」の2種類に区分されることになります。
    なお、持分の定めのある社団医療法人や財団医療法人、社会医療法人、特定医療法人、特別医療法人は基金制度を採用することはできません。

6.社会医療法人

  • 第五次医療法改正により新しく設立ができることとなった医療法人に「社会医療法人」があります。社会医療法人は非営利性に加え、役員などについて同族色を薄くするなど公益性の高さが要求される医療法人です。地域の医療計画に沿って救急医療等確保事業を行うため地域医療の中核を担うことになります。
    「救急医療等確保事業」とは、次のとおり医療の確保に必要な事業としてその範囲が示されています。

救急医療等確保事業の範囲

イ 救急医療
ロ 災害時における医療
ハ へき地への医療
ニ 周産期医療
ホ 小児医療(小児救急医療を含む。)
ヘ イからホまでに掲げるもののほか、都道府県知事が当該都道府県における疾病の発生の状況等に照らして特に必要を認める医療
(ハに掲げる医療については、その確保が必要な場合に限る。)

社会医療法人の特徴は、社会医療法人債という公募債を発行できることと、一定の収益業務が営めることです。
また、自治体病院の整理・統合にも寄与することが期待されています。

社会医療法人制度の設立

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コラム 社会医療法人債

社会医療法人債は、金融商品取引法第2条第1項第3号の「特別の法律により法人の発行する債券」に該当する有価証券で、医療法第54条の2において社会医療法人に公募債の一種として資金調達を目的に発行を認める債券です。
これは「救急医療等確保事業」を担う社会医療法人の財政的基盤の安定化を図ることを目的としたものであり、その発行限度額は、社員総会による議決又は寄附行為の定めによるところにより評議員会において議決された額を限度とすると規定されています。この社会医療法人債により調達された資金は、収益業務の会計(特別の会計)へ繰り入れることはできないと規定されています。
なお、社会医療法人債を発行する場合には、企業内容の開示に関する内閣府令に従い、情報開示に必要な書類の作成および届出が必要となります。
また、社会医療法人が社会医療法人債の発行を行い、それらを引き受ける者の募集をし、申込みをしたものに対し割り当てる社会医療法人債を、特に募集社会医療法人債と予備、募集社会医療法人債を発行しようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定める必要があるとされています。

「募集社会医療法人債の発行時に定める事項のうち主なもの」
1.調達資金の使途
2.募集社会医療法人債の発行総額
3.各募集社会医療法人債の発行金額
4.利率
5.償還の方法及び期限
6.利息の支払い方法及び期限 等

社会医療法人債(公募債)発行に必要な既定の整備

  • へき地医療や小児救急医療など救急医療等確保事業の役割を担う社会医療法人の経営基盤の安定化を図る目的から、これまでの間接金融による資金調達のほか、社会医療法人債(公募債)の発行による資金調達を認めることで安定した医業経営の実現を推進する。

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